この記事の結論
公売の中古車は、下見会に参加して、中古車の知識をもって選べば、かなりお買い得です。
私は実際に官公庁オークションの公売で軽自動車を2台——ワゴンRを8万円、スペーシアを22万円で落札しました。いずれも同年式の中古車相場の中央値(12.4万円・39万円)より大幅に安い価格です。本記事では、その実体験をもとに、公売で中古車を買う流れと注意点を解説します。
公売とは?競売との違い
公売とは、税金の滞納などで国や自治体に差し押さえられた財産を、入札で売却する手続きです。中古車もその対象で、インターネットの官公庁オークションサイト(KSI)から誰でも参加できます。
よく似た仕組みに「競売(けいばい)」があります。ざっくり言うと、国や自治体が行うのが公売、裁判所を通して行うのが競売です。どちらも「差し押さえられた財産を市場より安く買える」点は共通で、車だけでなく不動産にも同じ仕組みがあります。不動産のほうに興味がある方は 👉 競売不動産とは?始め方を初心者向けに解説 をご覧ください。
実際に公売で落札した中古車2台
今回、私が公売で落札した車は以下の2台です。
| 1台目:スズキ ワゴンR | 2台目:スズキ スペーシア | |
|---|---|---|
| 落札価格 | 8万円 | 22万円 |
| 年式 | 2005年(平成17年) | 2013年(平成25年) |
| 走行距離 | 15万キロ | 13万キロ |
| 備考 | 4輪駆動 | — |
いずれも中古車市場でも人気の車種です。
公売の中古車は相場より安いのか?
同じ年式・条件の中古車相場(落札当時のカーセンサー調べ)と比べると、次のとおりです。
| 車種 | 落札価格 | 同年式の相場中央値 |
|---|---|---|
| ワゴンR | 8万円 | 12.4万円 |
| スペーシア | 22万円 | 39万円 |
ワゴンRは出回っている数も多く、取引は活発だと思われます。
カーセンサーより。https://www.carsensor.net/usedcar/search.php?STID=CS210610&CARC=SZ_S015&YMIN=2005&YMAX=2005&SMIN=150000&SORT=2
スズキのスペーシアは同じ年式だと中央値は39万円でした。

中古車市場の相場と比較して、割安に購入できていることがわかります。
なぜ安い?公売のリスクと注意点
もちろん、割安なのには理由があります。
| 安さの理由 | 中身 |
|---|---|
| 差し押さえ時の状態のまま | 公売では、差し押さえられて自治体に保管された状態のまま入札が進みます。パーツやガソリンは当時のままで、不具合があってもそのままです |
| プロの点検が入らない | 自治体職員の方のチェックは入りますが、車のプロではないため瑕疵(見落とし)もあり得ます |
| リスクは落札者負担 | 公売ではリスク負担は落札者が負うため、自分で目利きや修理をする必要があります |
こうしたリスクがあるがゆえの安さです。というわけで、下見と中古車整備の知識は必須です。
自治体によっては指定された日付で公開・下見を実施していますので、必ず見に行くことをおすすめします。私は見に行かず、写真や資料から目利きできるだけの技量もなかったので、きっちり痛い目にあいました(何があったかは、引き取りのステップで後述します)。
公売で中古車を買う流れ【6ステップ】
具体的な手続きは以下の流れになります(軽自動車で、自賠責保険と車検が期限内の場合)。
| ステップ | やること |
|---|---|
| ① | 車の目星を付ける |
| ② | 入札申し込み |
| ③ | 入札 |
| ④ | 落札できたら保証金・残代金を納付 |
| ⑤ | 自治体から引き取る |
| ⑥ | 名義変更 |
①車の目星を付ける
官公庁オークションサイトのKSIで、ほしい車の目星をつけます。
https://kankocho.jp/
かなりいろいろな車種がありますが、一般乗用車を選んで絞り込んでいきます。どの自治体も車種と年式、走行距離はタイトルに書いてくれていることが多いので、比較的簡単に絞り込めるかと思います。
気になるタイトルがあったらクリックして、詳細を読み込みましょう。詳しい車体の現状や写真がありますので、ここで目利きをします。
こんな感じで注意点や現状が書かれているので要チェック
公売一般の注意(免責事項や色合いの見え方など)に加えて、その車固有の事情が書かれています。ヤバそうな場合は、この時点で見込みなしとするのもいいでしょう。書いてある事項や写真から問題がなさそうなら、現地で試乗会や車両見学会に参加しましょう。
②入札申し込み
上記のプロセスを経て入札することを決めたら、入札申し込みをします。事前の申し込みをしないと入札に参加できません。
入札期間のだいたい2週間〜1か月ほど前に申し込み期間があるので、忘れずに申し込みます。申し込みは、KSIの該当商品ページの右側にある「入札申込」ボタンから行います。
自治体によっては、KSIからの申し込みに加えて、別途書類の提出が必要になる場合があります。自治体からの連絡を見逃さないようにしましょう。
③入札
入札期間になったら、自分が買ってもよいと思う価格で入札をします。入札形式には「競り売り」と「入札形式」の2つがあります。
https://help.kankocho.jp/knowledge/help020
| 形式 | 仕組み |
|---|---|
| 競り売り | ヤフーオークションのように現在価格が公開され、逐次、最高入札額が更新されていく形式です |
| 入札形式 | ほかの入札者の入札額はわからず、一度しか入札できません |
KSIの競り売り方式には「自動入札」という仕組みがあるのですが、これが最初はよくわかりませんでした。要は、「どんなに高額で入札しても、現在価額+α(最低入札単位)で入札し続け、他の入札がなければそこでストップ。入札があれば、さらにその入札額の+αで再入札」をしてくれる機能です。
この機能は勝手に働くため、競り売りで入札したい人は予算目いっぱいで入札すれば、自動的にいい感じの値段で落札してくれるというわけです。私はこの自動入札機能を、入札時に任意で選択するものだと思っていたので、最初は手動で「現在価額+100円」をちまちまやっていました。だって、予算目いっぱいで入札して、その価額で落札になったら嫌ですし……。
④落札できたら保証金・残代金を納付
無事に落札できたら、そこからは自治体とのやり取りになります。
保証金が必要な場合は、クレジットカードから引き落とされます。落札額から保証金額を差し引いた金額(残代金)を自治体に振り込んだ時点で、所有権が落札者に移転します。
また、本人確認書類や保管依頼書、誓約書などの書類の提出が必要です。このあたりは自治体により異なりますので、担当者の方に教えてもらいましょう。
ちなみに、裁判所が行う不動産の競売では、保証金は銀行窓口からの振込で納め、落札できなかった場合は「組戻し」という手続きで返してもらいます。仕組みの違いが気になる方は 👉 競売の保証金の組戻し手続き をどうぞ。
⑤自治体から引き取る
残代金を納付したら、引き取りに行く日を調整して、その日に引き取りに行きます。市役所の税務課・市税課で手続きを行いますので、平日の10時〜16時前後に行く必要があります。
窓口で「公売で○○を落札したものです」と言えば、担当の方が対応してくれます。書類提出や本人確認が済んだら、車検証や車のカギなどの受け渡しが行われ、受領書にサインをします。
その後、保管場所へ一緒に移動し、現物の確認を行います。きちんとKSIの資料どおりか、始動可能かどうかを確認しましょう(もし異なっていても、どうにもならないかもしれませんが……)。目利きをしっかりしていれば問題ないはずですが、保管中にバッテリーが上がってしまっていたり、ガソリンがギリギリだったりします。動いて市役所の敷地を出るまでは、職員さんに問題のないことを見届けてもらいましょう。
ここで、冒頭で触れた「痛い目」の話です。私がスペーシアを引き取りに行った際、エンジンがかからず、保管場所の隣の車とブースターケーブルをつないでエンジンを始動させてもらいました。その後、敷地内を少し走って保管場所に戻り、エンジンを落としたら、再度エンジンをかけることができず、再びブースターケーブル経由で始動しました。どうやら保管中に前照灯が点きっぱなしで、バッテリーが上がってしまっていたみたいです。幸い、最寄りのガソリンスタンドに到着するころには復活してくれました(ガソリンスタンドでも事情を話し、ブースターケーブルを貸してくれることを確認してからエンジンを切りました。迷惑な客!)。
現物の引き取りの際には何が起こるかわかりませんので、ブースターケーブルをはじめ、車のメンテナンスツールを持っていくことをおすすめします。
なお、公道を走る際には、車検期限内・自賠責保険の加入期間内であることが必要です。これらの期限が切れている車の場合は、業者による運搬や、仮ナンバーを発行してもらう必要があります(前所有者の自賠責保険が残っていれば、その保険は適用できます。また、現在任意保険に入っている場合は、他社所有の車についてのオプションが付いている場合があるので確認しておきましょう)。こうした経験のない方は、車検・自賠責が期間内の車に絞って入札することをおすすめします。
⑥名義変更
晴れて車が手元に来たら、名義変更を行いましょう。私が落札したのは軽自動車ですので、軽自動車の名義変更について書きます。
車検証と身分証明書(住民票や印鑑登録証明書)を持って、車の使用場所を管轄する軽自動車協会に行きます。申請書を記入・提出し、指示に従って旧ナンバープレートを外し(ドライバーも貸してくれます)、新ナンバープレートを付けて、新しい車検証を受け取ったら終了です。
およそ1時間程度で終わりますし、費用もナンバープレート代の1,500円程度で済みますので、時間がある場合は自分でやることをおすすめします。名義変更が終わったら車検や任意保険の加入ができるので、必要に応じて済ませましょう。
実際に公売で中古車を買ってみた感想
車の購入と考えると大仰な手続きがイメージされますが、実際にやってみると、思いのほかあっさりとできました。自家用車として乗り続けるにしても、転売して利益を出すにしても、公売は良い選択肢だと思います。
ディーラーとの変な駆け引きもなく、余計なオプションに頭を悩ませることもありません。状態の良いものに当たったときの喜びもあります。ただ、車の状態が目利きでき、必要とあらば自分で整備ができることが必須だと思いました。中古車は状態が良くなければ相場の価格以上の売値が付かないため、現物確認は必ずしましょう!(自戒)
車の次は不動産——「安く落札する」仕組みは同じです
公売で車を安く買えたように、差し押さえられた財産を入札で安く買うという仕組みは、不動産の競売・公売でも同じです。私はこの仕組みを使って不動産も落札しており、このブログではその実体験を詳しく解説しています。車の公売で入札の流れをつかんだ方なら、とっつきやすいはずです。
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