税金を払えず差し押さえられた物件や自治体の払い下げた物件が公売。強制執行はハードルが高い
私は競売と同じく公売でも入札をしています。
公売もお得に物件を手に入れる有力な選択肢になります。
本記事では公売の基本的な部分をまとめました。
公売と競売の類似点
公売は自治体が主催しているオークションです。
公売の情報はKSIにまとめられています。
公売は「税金の滞納に対する差し押さえ、自治体の払い下げたもの」を一括換価したものです。
不動産としては国有地や自治体が管理していた団地などが出てくることがあります。
公売不動産は競売とよく似たプロセスを踏みます。
類似点としては以下。
・一回だけ入札でき、最高価格の入札者が落札者となる封印入札方式 (sealed bid auction)
・基準価格、物件情報は公開されているが物件内部へは基本的に立ち入れない
・入札書類を郵送して入札する
・占有者との立退き交渉は落札者が行う
・所有権移転の効力は動産には及ばない
オークション形式で最高入札者を決めて物件の所有権を落札者に移転する、という基本的な流れは同じです。
競売経験者であれば躓くことなくエントリーできるかと思います。
公売と競売の相違点
一方で、公売不動産と競売の違いは以下です。
・保証金振込はネットバンクでOK
・開札、売却許可決定などの手続きのタイミングは自治体による
・落札後のやり取りはメールで自治体と行える
・強制執行は公売に付随して行うことはできない
手続き自体は競売より柔軟で、メールやネットバンキングによる振り込みが可能です。
また、知名度としても競売よりマイナーで、ライバルの数が少ないという特徴があります。
一方で出回る物件数が少ないという特徴もあるので、一長一短です。
また、公売物件では主催者が国税庁や財務省や自治体であったりするため、物件情報の掲載形式や情報の密度がまちまちです。
こんな感じの概要がA4サイズ1~3ページほどで書かれていて、後は公図と写真があっておしまい、というパターンが多いです。
競売では不動産鑑定士が詳しく調べて記載してくれますが、公売の場合は係のお役人が調べられる範囲を調べて終わりという形になります。
そのため、物件内部の写真は基本的にない状態で入札の判断をしなければいけません。
この点が競売に比べてリスクが高いところです。
さらに大きな公売の問題点としては「競売のように手軽に強制執行できない」ことです。
競売不動産において強制執行が明渡しの手段として有効なのは、落札したことが判決と同等の効力を持つため、改めて裁判する必要なく強制執行できるからです。
公売の場合は裁判所は介入しておらず、落札した後の占有者と新所有者（落札者）の間で交渉が難航した場合は、改めて民事事件として処理する必要があるのです。
そのため、落札者が強制執行したいと申し出ても、強制執行という強力な手段を行う正当性があるのかどうかを裁判で決める必要があります。
結局のところ、競売と違って公売不動産には入札の際の情報が少ないこと、立退きに関する交渉のリスクが高いというのが大きなデメリットになります。
ただし、これらのリスクを見込んで入札額を決定すれば大きな失敗を避けられるうえ、こうした問題がそもそも発生しなかった場合には大きなリターンが見込めます。
競売ほどライバルも多くないため、ハイリスクハイリターンの不動産取得方法の一つといえるでしょう。
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