この記事の結論
競売で落札した後の流れは、「売却許可決定の書類を待つ(約1か月)→書類が届いたら固定資産税評価証明書などを準備→裁判所で残代金を納付→受領証書の取得と物件来歴の確認」という順番です。そして損をしないために、残代金の納付前に必ず物件を現地確認することが最重要ポイントです。
私が実際に落札した物件では、「開札10/21→売却決定期日11/11→売却許可決定11/19→書類発送11/24→残代金納付期限12/27」というスケジュールでした。本記事では、この実体験をもとに、落札後にやることを時系列で解説します。
入札期間を終えて1週間ほどすると、入札結果が開札されます。そこであなたが一番高い価格で入札していたら、あなたが落札者です。おめでとうございます!
まだ入札前の方・競売の全体像から知りたい方は、先に 👉 競売不動産とは?始め方を初心者向けに解説 をご覧ください。
競売で落札した後の流れ【時系列】
「落札者になったと知ったら、すぐにやらなければいけないことがあるのでは?」と不安になるかもしれませんが、答えはNoです。まずは裁判所からの書類を待ちます。
売却決定期日まで約1か月は「待ち」の期間です
3点セット(競売の資料)の1枚目には「売却決定期日」の記載があり、開札期日のおおよそ1か月後に設定されています。
売却決定とは、落札後に「その入札が適法だったか」「入札者が反社会的勢力ではないか」「入札手続きに異議申立てがないか」などを調べる期間を経て、正式に落札・引き渡しの手続きへ進めることです。競売では債務者や債権者といった関係各所の利害が対立するため、どの立場からも裁判所の手続きに異議申立てをして自分の権利を主張できる制度になっています。売却決定期日までの期間は、「このまま手続きを進めても問題ないか」を確認しているわけですね。
この売却決定期日を経てから、裁判所は手続きを進めるための書類を落札者に発送します。落札者はこの書類が届いてからでないと先に進めません。つまり、落札を知ってから1か月ほどは待たされることになります。
実体験:私が落札したときの実際のスケジュール
一例として、私が落札した物件では次のスケジュールで進みました。
| 手続き | 実際の日付 |
|---|---|
| 開札 | 10月21日 |
| 売却決定期日 | 11月11日 |
| 売却許可決定 | 11月19日 |
| 書類発送 | 11月24日 |
| 残代金納付期限 | 12月27日 |
この「待ち」の期間は、落札した物件の詳しい調査や、写真からわかるリフォーム箇所の見積もりなどに充てるといいでしょう。
なお、惜しくも落札できなかった場合は、入札時に納めた保証金を返してもらう手続きが必要です。手順は 👉 競売の保証金の組戻し(返還)手続き にまとめています。
売却許可決定の書類が届いたらやること
同封されている書類
許可決定の書類には、以下のものが同封されています。
| 同封書類 | 内容 |
|---|---|
| 残代金納付期限通知書 | 売却許可決定の確定と残代金についての通知 |
| 裁判所に提出する書類一覧と必要な手続き | 来庁した際に必要な書類、登録免許税の計算、注意事項など |
| 物件目録 | 3点セットと同じ目録書 |
| その他 | 来庁日時、登録免許税の計算方法、FAX送信書など |
実物はこんな感じです。



固定資産税評価証明書の取得とFAX送信・来庁予約
この書類が手元に来たら、書類提出と残代金納付のための来庁日時を、裁判所に電話で伝えます。
また、裁判所が登録免許税を計算するために、固定資産税評価証明書をFAXで送信します。これがまた非常に手間なのですが、物件のある自治体の市役所に売却許可決定通知書を提出し、物件の固定資産税評価証明書を取得し、FAXで裁判所に提出する、という手続きを踏まなければいけません。
実体験:私が実際に進めた手順
私の場合、前回落札した物件では、後述する現地調査も併せて次の流れで進めました。
- 裁判所から書類が届く
- 物件の現地に行き、3点セットと違いがないか確認する
- 役所に行き、固定資産税評価証明書を取得する
- 管轄の法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得する
- 裁判所にFAXを送る
- 電話で来庁日時を予約する
- 予約した日に裁判所に行き、手続きを済ませる(所要時間1時間ほど)
足を運んだ回数は、現地調査と固定資産税評価証明書の取得で1回、裁判所来庁で1回の計2回でした。本当は1回で済ませたかったのですが、裁判所の手続きスケジュールの関係上、固定資産税評価証明書の確認から登録免許税の計算・通知までは、ある程度間を置かなければいけないそうです。
固定資産税評価証明書を郵送で取得し、あらかじめ登録免許税の計算を終わらせておけば、「現地調査+裁判所来庁」の1回で済ませることもできます。
裁判所に行くまでの準備まとめ
| 準備 | 内容 |
|---|---|
| 書類の取得 | 売却許可決定の書類が来たら、物件所在地の役所で固定資産税評価証明書、法務局で登記簿謄本を取得する |
| 裁判所への連絡 | 固定資産税評価証明書をFAXし、来庁日時を予約する |
| 切手・収入印紙 | 登記嘱託のための切手(1099円×1組、529円×1組、登録免許税に応じた切手)と、登録免許税分の収入印紙を購入する。物件資料の閲覧用に+150円分の収入印紙も準備しておくとよいです |
| 現地調査 | 物件の現地調査を行い、問題がないかを確認する |
これらの手続きと書類の準備が終わったら、いざ裁判所へ行きます。
裁判所でやること(残代金納付の当日)
必要な事前準備と書類がそろっていれば、裁判所での手続き自体にさほど時間はかかりません。だいたい1時間ほどで終わります。当日の流れは次のとおりです。
- 競売の「売却係」の窓口に行き、事件番号と落札者である旨を伝え、そろえた書類と残代金を提出する
- 書類に問題がなければ、保管金受領証書の発行のために「出納係」に行く(同じ窓口で完結させてほしいところです)
- 出納係で氏名と事件番号を伝え、保管金受領証書を受け取る
- 保管金受領証書を持って、再度売却係の窓口に行く
- 売却代金・登録免許税等納付書を受け取って手続き終了


ちょっとしたスタンプラリー気分を味わいつつ、これらの手続きを済ませると登記手続きに移行し、1週間ほどで登記識別情報通知書と登記完了通知書が届きます。なお、法的にはこの残代金納付の手続きをもって、所有権はすでに落札者へ移転したことになっています。
もう一つの重要タスク:「物件来歴」の確認
さて、納付手続きの後に、もう一つやるべきことがあります。それが「物件の来歴の確認」です。
落札者はその不動産についての利害関係人に当たるため、物件の来歴を閲覧する権利があります。売却係で「物件のこれまでの資料を閲覧してもいいですか?」と聞いて、資料閲覧請求票の記入と閲覧費用150円分の収入印紙を提出すれば見せてもらえます(収入印紙がないとまた買いに行くことになるので、あらかじめ準備しておきましょう)。
資料では、次のようなものが見られます。
- 競売手続きの請求から所有者とのやり取り
- 所有者の住民票や物件の写真(3点セットに載っていない写真もここで見られます)
- 物件の調査記録
- 入札書類(自分以外の人のものも見られます。2番目の入札者との差額を確認して、歓喜or落胆しましょう)
通常はコピー機がありますので、必要な書類はコピーを取っておきましょう。親切な係の方だと「スマホで写真を撮っていいですよ」と言ってくれるので、遠慮なく写真に収めましょう。
必要な情報を取得したら、これにて裁判所での手続きは終了です。
裁判所でやることまとめ
- 売却係で書類と残代金を提出する
- 出納係で保管金受領証書を取得する
- 再度売却係に行き、売却代金・登録免許税等納付書を受け取る
- 物件資料を閲覧し、必要な情報をコピーor撮影する
損をしないために:残代金の納付前に必ず現地確認を
以上が、落札から所有権移転手続きまでの流れです。
ここまでにも触れましたが、裁判所で残代金を納付する前に、必ず物件を実際に確認したほうがいいです。理由は、3点セットの作成から残代金納付までの間に、物件の価値が変動する場合があるからです。
例えば、3点セットの作成後に大きな台風などがあって、物件の屋根が吹き飛んでいることだってありえます。屋根がなければ当然評価額は下がりますし、そんな物件であれば3点セットで言及されるはずです。しかし、こうした評価額を下げるポイントがあっても、3点セットの作成後に生じたものは反映されません。だからこそ、自分の目で確かめる必要があるのです。
残代金の納付前であれば、「3点セットで言及されて然るべき瑕疵が評価額に反映されていない、すなわち売却基準価格の設定に問題がある」という主張をもって、売却決定を取り消せる場合があります。しかし、残代金の納付後に問題が発覚して裁判所に申し立てても、受理される可能性は低くなるそうです。おそらく、残代金の納付は「物件の現況に納得した上での最終的な合意」とみなされるため、後出しで文句を言っている形になるのだと思われます。
3点セットの作成から残代金納付までは半年以上空くこともあります。必ず納付前に物件の状態を確認しましょう。
まとめ:競売の落札後は「書類・納付・来歴確認」の3点セット
- 落札後すぐにやることはなく、売却許可決定の書類が届くまで約1か月待ちます(その間に物件調査やリフォームの見積もりを)
- 書類が届いたら、固定資産税評価証明書の取得→裁判所にFAX→来庁予約。切手と収入印紙(閲覧用の150円分も)を先に準備しておくとスムーズです
- 裁判所では残代金の納付と受領証書の取得に加えて、物件来歴の確認まで済ませましょう
- そして何より、残代金の納付前の現地確認は損をしないために必須です
許可決定の書類と裁判所の指示に従って進めれば手続き自体は難しくありませんが、効率よく進めるには事前準備と計画が欠かせません。これから競売に挑戦する方は、👉 競売不動産とは?始め方を初心者向けに解説 から全体像をつかんでみてください。




コメント