プロパンガスの地域で、竹が入手できるなら差別化のメリットは大きい
民泊化を進めている物件で、給湯設備として竹ボイラを導入してみました。
本記事では竹ボイラについて紹介します。
設置については別記事を参照してください。
竹ボイラとは
竹ボイラはモキ製作所が制作・販売している「竹を燃やしてお湯を作り出すボイラ」です。

仕組みとしては、竹が燃焼する炉の周りが貯水タンク(容量150L)になっており、炎が貯水タンクの水温を上げてくれ、給湯できるという仕組みです。
ガスや電気設備を使うわけではないため、作りがシンプルで故障する心配もありません。

使用するときにやることは、焚き付けから竹に火を燃え移らせるだけです。
具体的に言うと、炉に焚き付け(火種)をくべ、徐々に炎を大きくしていきます。
この炎を竹を炉の入り口に立てかければ、後は竹が勝手に燃えて下の炉に落ちていくので、最初の操作だけで12時間ほど温かいお湯を使えます。
モキ製作所はほかにも薪ストーブや廃材の利活用の機材などを作成しており、その界隈では非常に有名なメーカーさんです。
・モキ製作所の給湯設備(価格は572,000円)
・主な燃料は竹
・150Lのお湯を作れる
・竹に火が燃え移れば後は自動的に燃え続ける
竹ボイラのメリットとデメリット
民泊に導入するという観点から竹ボイラのメリットとデメリットを整理してみます。
・ランニングコストがほぼ0
・竹資源の利活用で地域と環境に貢献
・自然派志向やDIY志向の層に刺さる
まずランニングコストですが、焚き付け用の火(チャッカマンやガス缶など)が必要なのと、煙突掃除が必要なくらいです。
人に頼んで煙突掃除をしてもらうにしても年に1回程度ですので、年間のランニングコストは多めに見積もっても1万円程度でしょうか。
ランニングコストについて、プロパンガスと比較をしてみましょう。

例えば3人暮らしの使用量と比較すると、1か月7,331円×12か月=87,972円になります。
竹ボイラの年間のランニングコストが1万円程度とすると、その差は7~8万円ほどになります。
竹ボイラの本体価格が58万円程度、施工費で10万円とすると、だいたい10年で元が取れることになります。
使用する人数によってはもっと早く回収できる計算になります。
プロパンガスは竹ボイラのような独立したボイラと同様、どの地域でも給湯できるという特徴がありますが、ランニングコストがばかになりません。
使用する人数によってはもっと早く回収できる計算になります。
長期間物件を使用する前提なので、ランニングコストが安いのは大変大きなメリットです。
続いて、地域と環境への貢献ですが、これは竹を収集して使用することで、森林の維持管理に貢献できるからです。
竹林は成長が非常に早く、間伐しないとあっという間に林床への光供給がなくなります。
見通しも悪くなり、イノシシをはじめとする獣の被害にもつながります。
そうなると、竹林を管理してほしいという要望が出るのですが、地主からするとこれが非常に負担なのです。
そうした中で、竹を適宜持って行ってくれる存在があれば非常に助かるでしょう。
竹ボイラを使って地域から竹資源の出口を設けることは、環境にとっても地域コミュニティにとってもありがたいもので、民泊をやるうえでも好意的に受け取ってくれるでしょう。
3つ目のメリットとしては、自然派志向やDIY志向の層への訴求ができます。
自分の使うお湯を自分で用意する。
自分の身の回りのことを金を使わず自己完結させる。
こうした姿勢は一部の層の心を大変くすぐるもので、その不便さを上回る恩恵をもたらしてくれます。
火をくべる愉しみ、お湯を自分で作る充実感、地域へ貢献しているという連帯感、自然の一部となって過ごしている一体感。
こうした感覚を提供できるという点で、他の民泊と大きく差別化できるでしょう。
続いて竹ボイラのデメリットです。
・火つけが難しい
・雨天時の対策が必須
・竹の保管場所が必要
・設置を自分でやるか、業者を別途手配する必要ある
・本体価格が高い
まず、火付けについてですが、着火剤などを使わない場合、結構てこずります。
開口部が狭く、空気を送り続けるのが難しいのです。

十分に火の勢いを保つほど空気を送りつつ、竹に燃え移らせるのが結構コツがいります。
竹を立てかけるのを早くしすぎると、竹が空気の通り道をふさいでしまい、奥の方の火が消えてしまいます。
コツをつかむまでスムーズにお湯を出すのに苦労するでしょう。
続いて、雨天時の対策が必要な点ですが、燃料を入れる部分が上に向かって開口しているため、雨が降ったら炉に水が入ってしまいます。
対策としては屋根のある所に設置する必要があります。
ただ、そうすると今度は煙突と屋根が干渉してしまいますので、屋根を煙突が貫通するか、低い煙突にするといった調整が必要になります。
続いて、竹の保管場所についてはそれなりの広さの保管場所が必要になります。
竹ボイラで使用する竹は乾燥させておく必要がありますので、収集した竹はしばらく空気にさらしておけるだけの場所と時間が必要です。
さらに、設置と配管についてです。
モキ製作所はあくまで製品本体の配送までをしてくれますが、設置や施工は請け負ってくれません。
(購入後のサポートはもっと改善されると嬉しいです)
ですので、自分で行うか、水道業者に作業してもらう必要があります。
私は自分で行いましたが、配管工として働いていた経験があったので何とかDIYできたと思います。
(やり方については別記事参照)
未経験だとなかなか難しいでしょう。
最後に、本体価格(572,000円)が高いという大きなデメリットがあります。
民泊で収益が上がるかどうか、始めて見ないとわからない部分がある中で、50万円オーバーの支出はかなり痛いです。
私は自分の別荘用という意味合いもあり、長期目線での投資のつもりで購入しましたが、ここら辺の判断は人によって分かれると思います。
注文から配送までの流れ
実際の注文はモキ製作所のホームページお問い合わせから行います。

私が問い合わせた内容と回答としては以下の通りです。
・水量→本体に150ℓのお湯を貯水できます。
・配管は耐熱使用でないと使えないか、塩ビ管での配管は可能か→80°の熱湯を使用する事もありますので耐熱使用をお勧めします。
・ポンプで増圧する場合、必要な仕様(耐熱、容量等)はあるか→減圧弁がついておりますので増圧は出来ません。(給湯側は沸騰した水圧で問題なく出水されました)
問い合わせるとメールにて返事が来るので、そのメールで注文したい旨、見積書の作成をお願いしました。
結果的に公式サイトから定価(572,000円)+長野から福島への送料(14,100円)=587,510円で購入しました。
今から思うと、アフターサービスなどを特に気にしなければ楽天で買うのがポイント的にお得だったと思います。(Amazonでも買えます)
メールにてモキ製作所に発送依頼したところ、「在庫切れで納品まで3か月かかる」といわれまして、「Oh…」となりました。
が、その連絡の直後に「キャンセルが出たので、そのキャンセル品であればすぐに納品できる」といわれ救われました。
支払いは銀行振込になります。
振込額が高額なので、納品前後で半金ずつ振り込みたいとお願いしたら対応してないとのことで一括前払いで支払いました。(特にトラブルがなかったので良かったです)
配送はこちらの指定の日付で対応してくれますが、注意点もあります。
・日曜日以外の曜日は指定可能
・時間の指定は不可
・製品の荷受け当日は荷下ろし要員として3名ほど協力が必要
トラックで配送してくれるのですが、トラックからの搬出、現地までの搬送はこちら側で用意した人員でやる必要があります。
本体の重さが113㎏あるため、1人では作業できません。
私の場合は成人男性3名でできましたが、結構ギリギリでした。
女性を含む場合は4名いると余裕をもって作業できると思います。

配管のDIY
さて、無事に設置はできたものの、このままでは使い物にはなりませんので、配管をする必要があります。
配管~使えるまでについては別途記事にしたいと思いますので、そちらをご参照ください。
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