今回処分した不動産
まずは、今回手放した不動産の情報です。
土地のみ
所在地:静岡の別荘地
広さ:約1500㎡
状態:雑草、樹木が繁茂し、傾斜があるので、建物を建てるには造成が必要。困った点:別荘なので管理費が年間4万円ほど、固定資産税が年間8万円ほどかかる。別荘地なので自己使用のみしかできず、賃貸や民泊ができない。
典型的な売れない別荘地物件で、しかも樹木で覆われ、傾斜があるという、そのままでは到底利用できない状態です。
↑雑草が繁茂し過ぎて敷地に入るのもためらわれる…
↑どう見ても森です。本当にありがとうございました。
こんな有様なので、売却しようにも買い手がつかず、1年以上ポータルサイトで売却募集していましたが、問い合わせ、買い手は0でした。
この土地について、不動産業者さんも「傾斜があって造成する必要があるから、そうすると費用がどれくらいかかるか見えづらいんだよね~(だから買い手がつかない)」と半ばあきらめ気味でした。
訳アリ物件を取り扱っている不動産業者さんにも相談したんですが、「管理費と固定資産税の負担が生じるので150万円支払えば引き取ってあげますよ」といわれる始末でした。
不動産を手放すのに、さらに3桁万円のお金を支払う必要があると、一時絶望しました。
みんなの0円物件とは?
そんな中、無償で不動産の取引ができるサービス「みんなの0円物件」(通称「みん0」)を使って募集をしてみました。
このサービスは不動産仲介業者が入ることなく、個人間で不動産を譲渡できるポータルサイトです。
基本的に売買価格は0円で、「利益は出ない代わりに不動産を手放せる」というコンセプトで、ここ5年ほどで急速に利用者が増えています。
物件の掲載費用は0円で、自分で所有権移転の手続きを済ませれば実費のみで譲渡が完結します。
専門家に依頼することもでき、こちらは成約時に165,000円を支払います。
冒頭で紹介した厄介な別荘地物件ですが、みん0で無事に譲渡することができました。
もちろん3桁万円なんて処分費用は不要でした!
ここからは具体的な譲渡手順について解説します。
具体的な譲渡手順
手順の全体像は↓です。
①掲載依頼
②掲載に必要な書類をメール
③応募者と連絡、譲渡条件の調整
④譲渡に必要な書類の送付
⑤相手方の登記完了を待つ
①掲載依頼
みん0のサイトの「物件をあげたい方へ」のページにアクセスし、注意事項を読んだうえで、掲載申し込みフォームから掲載を依頼します。
この時点では詳しい書類等は不要で、物件の簡易的な情報(所在地、面積、使用状況など)だけで提出可能です。
数日すると担当者の方から連絡が来ます。
②掲載に必要な書類をメール
メールにはプランの確認(自分でやる0円プランかお任せプランか)、必要書類の案内が記載されています。必須なのは固定資産税課税証明書だけですが、詳細が分かった方が応募者も増えるため、できるだけ下記の任意書類も添付します。
・登記簿謄本
・登記識別情報または権利証
・現地の写真(多いほうが良い)
・不動産業者の募集ページ
・管理規約や付随資料(通行権覚書など)
これらの書類を送付後約1週間ほどで、物件の募集ページを作成してくれます。
募集ページを確認し問題が無ければ、その募集ページが公開され、応募者から連絡が来ることになります。
③応募者と連絡、譲渡条件の調整
物件の募集ページが公開されると、それを見て取得に興味を持った方が応募をしてきます。
応募が来ると、その情報は事務局を経由し、登録したメールアドレスに自動で転送されます。
↑の画像のように、応募者の氏名、連絡先、応募の動機などが記載されていますので、「この人になら譲渡の話を進めてもよい」と思ったら記載の相手方メールアドレスに連絡を入れます。
ここから先は個人間の直接のやり取りなので、トラブルにならないよう慎重に、礼儀正しく振舞いましょう。
ちなみに、【お問い合わせ内容】に力を入れているメール(「頂いた不動産でこんなことしたい!」「こういう理由で必要です!」)とそうでないメール(空欄や「取得希望です」のみ)が混在してましたが、やはり力の入った応募の方に傾きますね。
中には「10万円で売ってほしい」などの譲渡額の提示もあります。
個人間売買なので条件が折り合えば問題はないので、ここら辺はケースバイケースになります。
私の物件は「保護犬と老後を過ごしたい」という方に2万円でお譲りすることとなりました。
みん0を利用する前は「最悪100万円くらいかけて手放すのか…」と絶望してましたが、ふたを開けてみたら「譲ってほしい!」という応募が22件もありました!
別荘地、管理費がかかる、造成必須、樹木が生い茂っているという、いろんな欠点のある土地でしたが、それでもこれだけ引く手数多なんだとビックリしました。
④譲渡に必要な書類の送付
譲渡相手が決まったら、あらためて譲渡条件を確認し、今後の手続きの流れを伝えます。
私が提示した譲渡条件は以下の3点です。
・譲渡対価2万円と、固定資産税の年額を譲渡日で日割り計算した金額を、書類送付前に振り込んでもらう。
・敷地内の植栽の伐採・撤去は、譲受人側で行う。
・譲渡にかかる諸費用(司法書士報酬、登録免許税など)は全て譲受人側の負担とする。
相手方と条件について合意できたら、売買契約書を取り交わし、譲渡代金の振り込みを確認後、登記に必要な書類一式を相手方へ郵送します。
※ 通常の不動産取引では、代金支払いと書類(権利証など)の受け渡しは同時に行われます。今回は個人間取引で譲渡額も少額だったため、信頼関係に基づきこの手順を取りました。高額な取引や不安な場合は、司法書士に立ち会ってもらうなどの方法を検討しましょう。
・売買契約書(2部作成し、相手に署名捺印後1部返送してもらう)
・固定資産税等精算に関する覚書(同上)
・登記委任状(相手方が登記手続きをするために必要)
・固定資産評価証明書の取得に必要な委任状
・印鑑証明書(発行3ヶ月以内のもの)
・住民票・身分証明書(運転免許証など)のコピー
・登記識別情報通知書
これらの書類があれば、買主(譲受人)側で所有権移転登記の手続きを進めることができます。
⑤相手方の登記完了を待ち、みん0に報告
書類郵送後、相手方で登記手続きが完了すれば、晴れて不動産の譲渡は完了です!
肩の荷が下り、厄介な不動産を手放せた解放感は格別でした。
相手方には、登記が完了したら連絡をもらえるよう事前に伝えておきましょう。完了連絡を受けたら、感謝の気持ちを伝えることも忘れずに。
最後に、みん0の事務局に譲渡相手の氏名をお伝えすれば手続き完了です。
注意点
実際にみん0を利用してみて、いくつか注意点と感じたこともありました。
・応募者から直接連絡が来る場合がある
応募者にはこちらの連絡先(メールアドレス・電話番号)が伝わるため、個別に電話などで連絡してくる方もいました。対応が煩雑にならないよう、私はメールでの問い合わせには、以下のような定型文で一度返信し、検討後に連絡する形をとりました。
「この度はお問い合わせ頂きありがとうございます。現在、多数の方からご応募いただいております。慎重に検討の上、譲渡手続きに進ませていただく方には、追ってこちらからご連絡いたしますので、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」
返信テンプレ例
電話で連絡があった場合も、「現在メールにて対応させていただいております」と伝え、早めに切り上げていました。
・譲渡条件は明確に、毅然と伝える
個人間のやり取りだからこそ、譲渡の条件(費用負担、現状有姿での引き渡しなど)は最初に明確に提示し、合意しておくことが重要です。曖昧な点を残すと、後々のトラブルにつながりかねません。
少し手間だと感じる部分もありましたが、応募者の方々の様々な動機や熱意に触れることができ、自分がもし物件を探す立場になったら、どうアピールすれば選ばれやすいか、という視点も得られたのは良い経験でした。
最後に:諦める前に、選択肢を探してみよう
最後に、どうしようもない不動産を抱えて困っている方へ。
世の中には「訳あり物件、高値で買い取ります!」と謳う業者もいますが、実際には固定資産税や管理費がかかることなどを理由に、法外とも思える引き取り料を請求されるケースも少なくありません。
私も相談した際、「このまま何年も持ち続けるのは経済的にも精神的にも負担でしょう。ここで弊社に引き取り料を支払って、スッキリ手放しませんか?」といった、あたかもこちらの身を案じているかのようなセールストークを受けました。
しかし、彼らは不動産業者のネットワークを駆使して転売する算段があるにも関わらず、高額な手数料を要求してくるのです。
一方で、世の中には多様なニーズがあります。 あなたにとって不要で負担でしかない不動産も、他の誰かにとっては「まさに探していた物件」「魅力的な条件」と映ることがあります。
最近では、相続で遠方の不動産を取得し、管理に困っているという話をよく耳にします。もしあなたが同じような悩みを抱えているなら、諦めて高額な処分費用を支払う前に、「みんなの0円物件」のような、使う人の立場に立ったサービスを探してみてはいかがでしょうか。
この記事が、不要な不動産の処分に悩む方にとって、少しでも希望や解決のヒントとなれば幸いです!
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